翻訳で消えたもの
英語圏の日本料理のレシピは、決まった形で元の料理から離れていきます。代用品がそのままレシピになり、調理法が瓶詰めの商品として売られ、辞書の意味が抜け落ちます。このシリーズでは、ひとつひとつの説明を日本語の資料までさかのぼり、元の料理が本当はどういうものかを説明します。
アメリカのハマチ・ブリ・カンパチ事情アメリカの寿司店ではハマチとイエローテールが同じ意味で並びますが、FDAの表示名ではブリは「Amberjack」です。養殖を指す「ハマチ」、別の種を指すアメリカの「Kanpachi」まで、日米の資料で確かめます。
「日本のわさびも95%は偽物」は本当か:英語圏のわさび論を確かめる英語圏では「寿司のわさびは偽物」「日本でも95%が偽物」と書かれます。数字の出どころ、輸出用チューブの原材料、日本の「本わさび使用」「本わさび入り」の基準を、日本の資料で確かめます。
「かつお節は細菌で発酵させた魚」? 英語の解説の誤りと荒節・枯節英語圏の解説には、かつお節をすべて「細菌のかびで発酵させた魚」のように書くものがあります。荒節にはかびがつかず、かびは細菌でもありません。JAS規格と表示のルールで確かめます。
絹ごし豆腐は「軽く押した豆腐」ではない:英語圏の豆腐の誤解英語圏では豆腐を「押し具合」で並べ、絹ごしはいちばん軽く押したものと説明されがちです。日本の資料が示す木綿と絹ごしの作り方と、アメリカの「silken firm」表示や常温保存の豆腐を確かめます。
食パンは「ミルクブレッド」ではない:英語圏が誤解する日本の食パン英語圏では食パンを「Japanese milk bread」と呼び、柔らかさの秘密は湯種だと説明します。日本の表示規約が食パンを何で定義しているか、アメリカの「milk bread」の基準とあわせて確かめます。
キユーピーの酢は「米酢」? 英語圏の誤解とアメリカ製キユーピー英語圏では「キユーピーの味の秘密は米酢」とよく書かれます。日本のキユーピーの酢はりんご果汁やモルトなどからつくる専用酢で、砂糖も入っていません。米酢と砂糖が入っているのはアメリカ製のほうです。
アメリカで「たまり=グルテンフリー」は本当か:小麦入りのたまりもある英語圏では、グルテンを避けるなら醤油をたまりに替えればよいと言われます。けれどもJAS規格はたまりに少量の麦を認め、アメリカでも小麦入りのたまりが売られています。規格、FDAの表示ルール、ラベルの読み方を確かめます。
英語の日本料理レシピは何を間違えているのか:ずれが生まれる6つの理由みりんの代わりに米酢、照り焼きは瓶入りのソース、日本のカレーはインドカレーの一種。英語圏のレシピが元の料理から離れていく6つの仕組みを、日本語の一次資料で確かめます。
照り焼きは「ソース」ではない:アメリカの「テリヤキ」はどこから来たか英語圏のレシピは「まずテリヤキソースを作る」から始まります。パイナップルやにんにく入りの甘いたれは、日本の照り焼きとは別の料理です。アメリカでの成り立ちと、日本の資料が示す照り焼きを確かめます。
「みりんの代わりに米酢」は誤り:英語のレシピが勘違いしていること英語圏では「みりんがなければ米酢に砂糖」という代用法が定番です。酸味のないみりんに酢を足す誤りと、アメリカで「mirin」として売られている瓶の中身、日本の資料が勧める代わりを確かめます。