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コンビニのたまごサンドが北米へ:アメリカで再現するときにつまずく点

日本のコンビニのたまごサンドを目当てに飛行機で来る人もいる、と英語圏で話題です。セブン-イレブンの北米進出、日米で違う卵のサイズやマヨネーズ、食パンを「ミルクブレッド」と呼ぶ誤解を、キユーピーの基本レシピとあわせて確かめます。

耳を落としたやわらかい白い食パンのたまごサンド。半分に切った断面から、厚くてなめらかな黄色い具が見えている。

英語の料理サイト Allrecipes は、日本のコンビニのたまごサンドを食べるために「6,700マイルを飛んできた」という人までいると紹介しました。同じサイトは2025年12月、セブン-イレブンがこの日本のたまごサンドをアメリカで売り出すと報じています。2026年初めには、セブン-イレブン・カナダも「セブン-イレブン・ジャパンでいちばん売れているサンドイッチに着想を得た」商品を発売しました。

日本人には見慣れたコンビニの定番が、北米ではちょっとした目当ての品になっています。ところが、アメリカの台所で同じものを作ろうとすると、食パン、卵のサイズ、マヨネーズという、日本では考えもしないところでつまずきます。この記事では、キユーピーが公開している基本レシピを手がかりに、その違いを確かめます。Allrecipes とセブン-イレブン・カナダによれば、北米の店頭版にもキユーピーのマヨネーズが使われています。

要点

  • 英語圏では食パンを「ミルクブレッド」と呼ぶことが多いのですが、牛乳は食パンの定義ではありません。
  • 日米で卵のサイズの決め方が違います。 日本は1個ごとの重さ、アメリカは1ダースの最低重量です。キユーピーの「Mサイズ以下」は、アメリカではおおよそ large か medium にあたります。
  • アメリカのキユーピーには2種類あります。 日本製と、原材料の違うアメリカ製です。
  • アメリカの食パンには「◯枚切り」の表示がありません。 キユーピーの指定する10枚切り(約12mm)に合わせるには、厚さを測るしかありません。
  • USDA(米国農務省)は、固ゆで卵はゆでてから2時間以内に冷蔵するよう勧めています。

北米の店頭に並ぶまで

Allrecipes の記事は、英語の原文を訳すと「セブン-イレブンが初めて、日本の商品の中でも特に人気があり愛されているもののひとつをアメリカに持ち込む」と書いています。対象は参加するセブン-イレブンの店舗と、系列の Speedway、Stripes です。「6,700マイル」の話は、TikTok の投稿を引いたものです。

アンソニー・ボーデインもこの手のサンドイッチの愛好者でした。Foodie によると、ボーデインはX(旧ツイッター)に、ローソンのたまごサラダサンドの「不自然で説明のつかないおいしさ」と投稿しています。ローソンはセブン-イレブンとは別のチェーンで、たまごサンドは一社の看板商品というわけではありません。

セブン-イレブン・カナダは発売を旅行と結びつけ、「2024年には過去最多の58万人のカナダ人が日本を訪れた」と書いています。(セブン-イレブン・ジャパンの公式な販売数は見つかりませんでした。「いちばん売れている」はセブン-イレブン・カナダの表現です。)


食パン:アメリカでは厚さがわからない

日本では食パンを「◯枚切り」で買い、数字が大きいほど薄くなります。キユーピーは10枚切りを約12mm、8枚切りを約15mm、12枚切りを約10mmとし、サンドイッチには10枚切りと12枚切りを挙げています。(生活情報サイト All About の目安では、約12.5cm角の食パンで4枚切りが約3cm、5枚切りが約2.5cm、6枚切りが約2cmです。)

アメリカの食パンの袋には、こうした表示がありません。英語の記事では、まず1枚の厚さを測るよう勧めることになります。厚ければ、切っていない食パンを自分で切るか、パンの多いサンドイッチになるのを受け入れるかです。英語のレシピサイト RecipeTin Japan は、たとえば1.5cmの厚さを使っています。

キユーピーは、断面が四角い角食パンを勧めています。

たまごサンドイッチには、切った断面が四角形の「角食パン」がおすすめです — キユーピー「たまごサラダサンドの基本レシピ」

理由は、きめが細かくやわらかいことです。アメリカで近いのは Pullman loaf(プルマン型の食パン)です。

食パンは「ミルクブレッド」なのか

英語圏のページの多くはそう書いています。セブン-イレブン・カナダは自社のパンを「fresh shokupan (milk bread)」、Allrecipes はアメリカ版のパンを「ふわふわのミルクブレッド」、RecipeTin Japan は「食パンは日本のミルクブレッド」と説明しています。

日本の公的な定義の一例は、見方が違います。埼玉県のパン類の認証基準は、食パンを焼き方で定義しています。生地を角型または円筒型の食パン型に入れて焼いたもの、です。牛乳や乳製品は使ってよい原料の一覧に入っていますが、食パンであることの条件ではありません。(この基準は県の認証制度のもので、国の法律ではありません。)牛乳入りの食パンも多いので、この呼び方が広まるのはわかります。ただ、定義ではありません。詳しくは食パンは「ミルクブレッド」ではないで書いています。


卵のサイズ:日本のMはアメリカの medium ではない

キユーピーの卵の指定ははっきりしています。

卵はMサイズ以下がおすすめです — キユーピー「たまごサラダサンドの基本レシピ」

Lサイズだと白身が多く、具が水っぽい味になるからです。ところが日米では、サイズの決め方そのものが違います。日本は1個ごとの重さの範囲を決め、アメリカは1ダースあたりの最低重量を決めています。

日本(農林水産省、1個あたり)重さアメリカ(USDA、1ダースの最低重量)その最低重量での1個平均
L64g以上70g未満Extra Large:27オンス約64g
M58g以上64g未満Large:24オンス約57g
MS52g以上58g未満Medium:21オンス約50g
S46g以上52g未満Small:18オンス約43g

行はおおまかな比較のために並べたもので、両者はぴったり対応しません。1個あたりの重さは、USDAの1ダースの最低重量を12で割った当サイトの計算です。USDAは、サイズは1ダースの重さを指し、1個ずつの重さにはばらつきがあるとしています。

つまりキユーピーの「Mサイズ以下」は64g未満の卵で、アメリカの呼び方ならおおよそ large か medium で、extra large や jumbo ではありません。extra large や jumbo しかない場合は、キユーピーの説明からすると、白身が多いぶん水っぽい具になりそうです。キユーピーはアメリカのサイズでのゆで時間を出していないので、13分は日本のM玉を前提にした時間と考えてください。


マヨネーズ:アメリカのキユーピーは2種類

キユーピーのレシピはもちろんキユーピーのマヨネーズを使います。ところがアメリカでは、同じ名前で2つの商品が売られています。日本のキユーピー(日本で売られている450gのもの)は卵黄と自社の醸造酢を使います。アメリカ製のキユーピー(「Product of USA」表示)は、日本の表示にない米酢と砂糖が原材料に入っています。うま味調味料はどちらにも入っています(アメリカの表示ではMSG、日本の表示では調味料(アミノ酸))。どちらも正規の商品で、配合が違うだけです。キユーピーのたまごサンドのレシピは日本のものを前提にしています。詳しい比較はキユーピーマヨネーズの酢は米酢ではないにまとめました。

RecipeTin Japan は、英語の原文を訳すと「欧米のマヨネーズを使うと、たまごサンドの味がまるで変わる」と書いています。これは好みの判断で、決まりではありません。アメリカのマヨネーズでもおいしいたまごサラダサンドはできます。ただ、このサンドとは別物になります。


キユーピーの基本レシピ

キユーピー「たまごサラダサンドの基本レシピ」をもとに、卵のゆで方は同じくキユーピーの「ゆで卵の基本レシピ」によっています。当サイトでは試作していません。

2組(2人分)

  • 食パン(10枚切り、厚さ約12mm) 4枚
  • 卵(Mサイズ以下) 3個
  • キユーピー マヨネーズ 約45g(大さじ3。キユーピーは大さじ1を約15gとしています)
  • 砂糖 ひとつまみ
  • 塩、こしょう 各少々
  • バター(室温に戻す) 大さじ1
  • 付け合わせ(好みで) レタス4枚、ミニトマト4個

作り方

  1. バターを戻す。 パンが破れずに塗れるよう、先に冷蔵庫から出しておきます。
  2. 卵を13分ゆでる。 サンドのページは「卵は13分くらいの固ゆでにする」とだけ書き、大きさや好みで調整するよう添えていますが、水から入れるか湯から入れるかは書いていません。M玉で同じ13分を固ゆでとする「ゆで卵の基本レシピ」によると、次のとおりです。
    • 卵がしっかりかぶる量の湯を沸かし、卵を入れる直前に酢大さじ1と塩小さじ1/3を加えます。
    • 卵は冷蔵庫から出したてを使います。温度がそろうので仕上がりが安定する、とキユーピーは説明しています。
    • 丸いほう(気室のある側)に画びょうで小さな穴をあけるか、スプーンの背で軽くひびを入れます。
    • お玉で静かに入れ、最初の2分は菜箸でやさしく転がして黄身を中心に寄せます。
    • 湯が強く沸き立たないようにして13分(半熟は8分、中間は11分)。
    • 冷水で冷やし、冷めたら水の中で、薄皮と白身のあいだに水を入れるようにしてむきます。
  3. 黄身はつぶし、白身は刻む。 黄身をなめらかにつぶし、マヨネーズ、砂糖、塩、こしょうを混ぜてペースト状にします。ペースト状の黄身もひとつまみの砂糖も、コクのためです。白身については、手順では「みじん切り」、その下のコツでは「白身は粗く刻みます」と書かれています。いずれにしても白身は形を残し、黄身と一緒にはつぶしません。刻んだ白身を黄身のペーストに混ぜます。
  4. バターを塗り、縁をあけて具をのせる。 パンの片面にバターを塗ります。キユーピーによると、バターが膜になり、具の水分がパンにしみるのを防ぎます。2枚に具をのせ、スプーンの背で中央を高く盛り、耳から約1cmあけます。バターの面を内側にして重ねます。
  5. 押さえて、耳を落として切る。 軽く押さえてなじませ、耳を落として切り分けます。キユーピーは「包丁を前後に動かしながら切りましょう」とし、パン切り包丁ではなく長くよく切れる包丁を勧めています。パン切り包丁の波刃では具がずれるからです。切るたびに刃をふきます。

キユーピーの方法にはありませんが、パンの厚さを確かめる定規があると便利です。RecipeTin Japan は黄身を目の細かいざるで裏ごししますが、キユーピーはつぶすだけです。

キユーピーは、だし入りの厚焼き卵をはさむ「厚焼きたまごサンドの基本レシピ」も公開しています。2人分で8枚切り(約15mm)を2枚、卵3個、顆粒和風だし小さじ1/2、水50mL、砂糖小さじ1(約3g)、塩少々、サラダ油小さじ1。パンにはマヨネーズ大さじ1に練りがらし小さじ1/2を混ぜて塗ります。卵焼き器で半熟まで混ぜたら、ふたをして弱火で約1分。火から下ろしてパンの大きさに折り、ふたをして約2分、返して約1分おきます。少し冷めてからはさみ、ラップで包んで約5分おいてから、耳を落として切ります。キユーピーのページは、この形を特定の地方と結びつけてはいません。


英語のレシピとの違い

正解のたまごサンドはひとつではありません。英語圏で人気の RecipeTin Japan の作り方は、キユーピーとこう違います。

キユーピー(公開レシピ)RecipeTin Japan
卵3個、13分ゆでる4個、12〜13分蒸す(ゆでる方法も紹介)
黄身なめらかにつぶす目の細かいざるで裏ごし
白身刻む(手順はみじん切り、コツは粗く)細かい角切り
味つけマヨネーズ、砂糖ひとつまみ、塩、こしょうマヨネーズ、砂糖、塩、米酢、好みで味の素
パン10枚切り、約12mm食パン約1.5cm

どちらも黄身と白身を分け、日本のマヨネーズを使う点は同じです。違いは好みの選択で、誤りではありません。当サイトは、マヨネーズのメーカーが公開している方法を出発点にしました。


アメリカの食品安全の目安

このサンドは完全に火を通した卵を使います。USDAは「白身も黄身も固まるまで加熱する」よう勧めていて、キユーピーは13分を固ゆでとしています。卵かけご飯のような生卵の心配は、ゆで卵にはあてはまりません。

大事なのは、ゆでたあとの時間と温度です。アメリカ連邦政府の目安は次のとおりです。

  • 固ゆで卵はゆでてから2時間以内に冷蔵し、1週間以内に使う(USDA FSIS)。
  • たまごサラダは4°C以下の冷蔵庫で3〜4日。 冷凍には向かない(FoodSafety.gov の冷蔵保存表)。
  • 傷みやすい食品を4〜60°Cに2時間を超えて置かない。 32°Cを超えるときは1時間まで(USDA FSIS)。
  • 持ち歩くときは、 冷蔵庫、クーラーボックス、氷を入れた容器で4°C以下に保つ(USDA)。

作ったら冷やし、この範囲内で食べきるのが基本です。


よくある質問

アメリカのセブン-イレブンでも、日本のたまごサンドが買えるのですか。 Allrecipes は2025年12月、セブン-イレブンが日本のたまごサンドをアメリカの参加店舗と、系列の Speedway、Stripes で売り出すと報じました。カナダでも2026年初めに発売されています。北米版にはキユーピーのマヨネーズが使われているとされます。

英語圏ではなぜ食パンを「ミルクブレッド」と呼ぶのですか。 牛乳入りの食パンが多いためだと考えられますが、日本の定義の一例である埼玉県の認証基準は、食パンを型に入れて焼く焼き方で定義していて、牛乳は条件ではありません。

アメリカで作るなら、卵はどのサイズを選べばよいですか。 キユーピーの「Mサイズ以下」は64g未満の卵なので、アメリカのサイズではおおよそ large か medium です。アメリカは1ダースの重さで決めているため、1個ずつの重さにはばらつきがあります。

アメリカで売っているキユーピーは日本と同じ味ですか。 アメリカ製の「Product of USA」表示のものは、日本の表示にない米酢と砂糖が入っていて、配合が違います。キユーピーのレシピは日本のものを前提にしています。


この記事の調べ方

作り方は、キユーピーが日本語で公開している「たまごサラダサンドの基本レシピ」「ゆで卵の基本レシピ」「厚焼きたまごサンドの基本レシピ」をもとにしていて、当サイトでは試作していません。卵のサイズは農林水産省とUSDA、食品安全の目安はUSDA FSIS と FoodSafety.gov によっています。パンの厚さはキユーピーと All About、食パンの定義は埼玉県の認証基準、北米での人気については Allrecipes とセブン-イレブン・カナダによっています。日本語資料からの引用は原文のまま短くとどめ、英語資料からの引用は当サイトで訳しました。アメリカのサイズの1個あたりの重さは、USDAの1ダースの最低重量から当サイトが計算したものです。

参考資料

日本語の資料:

アメリカの公的資料(英語):

企業と報道(英語):

英語のレシピの例:


あわせてキユーピーマヨネーズの酢は米酢ではない、食パンは「ミルクブレッド」ではない、日本のレシピをアメリカの台所で作るもどうぞ。

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