日本の食材、アメリカのスーパー

アメリカの「1カップ」は日本より約18%多い:アメリカの台所で和食を作ると

アメリカの1カップは約236.6mLで、日本の200mLより約18%多くなります。大さじ・小さじはほぼ同じ。計量、砂糖、オーブン、魚焼きグリル、換気まで、アメリカの台所で日本のレシピがずれるところを確かめます。

2口のコンロの間に小さな魚焼きグリルの引き出しがある、日本の家庭用のガスコンロ。上にレンジフードの縁が見える。

日本のレシピを英語にすると、「だし1カップ」「米2カップ」「砂糖大さじ1」は、そのまま「1 cup」「2 cups」「1 tbsp」になります。ところがアメリカの台所では、この言葉がどれも少しずつ違う量を指します。大さじ・小さじの差は気にしなくてよいほどですが、カップの差は煮汁の味を変えるほど大きく、米の量り方を間違えると水が足りなくなります。

まとめると、計量スプーンはほぼ同じ、カップは違い、炊飯器の「カップ」はさらに別物です。後半では、日本のレシピが前提にしている台所の設備、つまり小さなオーブン、魚焼きグリル、換気扇の違いも見ていきます。

要点

  • 大さじ・小さじはほぼ同じ。 日本は15mLと5mL、アメリカは約14.8mLと約4.9mLです。
  • カップは違います。 日本の1カップは200mL、アメリカは約236.6mL。日本の「1カップ」をアメリカのカップで量ると約18%多くなります。
  • 炊飯器の1合(約180mL)は、アメリカのカップでは約¾ cup。 米は炊飯器付属のカップで量るのが確実です。
  • 砂糖も違います。 日本のレシピの砂糖はふつう上白糖で小さじ1が約3g、アメリカで標準のグラニュー糖は約4gです。

計量スプーン:差は気にしなくてよい

日本アメリカ差
大さじ15mL約14.79mL日本が約1.4%大きい
小さじ5mL約4.93mL日本が約1.4%大きい

アメリカの数字は、連邦の度量衡の基準である NIST Handbook 44 の米液量オンスの定義から出ています。大さじは液量オンスの半分、小さじは大さじの3分の1です。もっとも NIST 自身も単位表では大さじを15mL、小さじを5mLとし、これらの「不正確な単位」は「1mL単位に丸めた」と注記しています(英語の原文を訳したもの、以下同じ)。日本の大さじにアメリカの大さじをそのまま使って問題ありません。

日本の計量スプーンの由来

日本の計量カップとスプーンは、女子栄養大学の創立者、香川綾(1899〜1997)にさかのぼります。香川栄養学園の資料によると、戦後の家庭の計量は混乱していました。メートル法は採用されていたものの尺貫法がまだ使われ、そこにアメリカからポンドも入ってきていました。計量カップはなく、1合や1升の升が使われ、スプーンの大きさも法律で決まっておらず、13ccのデザートスプーンもあったといいます。

「1948(昭和23)年に、綾は、新潟県の燕市で、計量カップ200ccと、計量スプーン30cc、15cc、5cc の3種類を試作して、実際に使ってみました。」 — 香川栄養学園『味のものさし』

30ccのスプーンは残りませんでした。文部省や農林省の担当者と話し合い、種類が少ないほうが普及しやすいとして、15ccと5ccに絞ったそうです。

なぜこの大きさを選んだのか、アメリカのスプーンにならったのかは、資料には書かれていません。言えるのは、結果として日本の計量スプーンがアメリカのものとほぼ同じ大きさになったことです。

カップ:差が出るのはここ

アメリカの標準のカップは8米液量オンス、約236.6mLです。NIST Handbook 44 は237mLに丸めています。

240mLという数字もよく見かけます。これはアメリカの栄養表示の決まりから来ています。FDA の規則(21 CFR 101.9)は「栄養表示の目的では、1カップは240mLとする」としており、NIST の「Metric Kitchen」の換算表も240mLを丸めた値として使っています。表示や換算の便宜上の数字で、台所の計量カップの大きさが変わるわけではありません。

どちらにしても差はあります。日本の1カップをアメリカのカップで量ると約18%多く、240mLで考えれば20%多くなります。だし、醤油、みりんで作る煮汁なら、一つの材料が18%増えるだけで、全体のバランスが変わることがあります。

日本のカップをアメリカの計量に直すと

アメリカで日本のレシピを使う人のための表です。

日本のレシピmLアメリカのカップ(小数)アメリカの計量で
¼カップ50mL0.21約 3 tbsp + 1 tsp
½カップ100mL0.42約 ⅓ cup + 1½ tbsp
¾カップ150mL0.63約 ½ cup + 2 tbsp
1カップ200mL0.85約 ¾ cup + 1½ tbsp
1½カップ300mL1.27約 1¼ cups
2カップ400mL1.69約 1⅔ cups + 1 tsp
3カップ600mL2.54約 2½ cups + ½ tbsp
5カップ1,000mL4.23約 4¼ cups

いちばん簡単なのは、mLの目盛りで量ることです。アメリカの液体用計量カップの多くにはmLの目盛りもついています。

英語のレシピの「1 cup」に注意

英語で書かれた日本のレシピには、日本のカップのまま「cup」と書くものがあります。たとえばクックパッドのアメリカ版サイトに日本のアカウントが載せただしのレシピは「For 1 cup (200 ml) worth」としています。mLに気づけばよいのですが、「1 cup」だけを見た読者はアメリカのカップを手に取ります。二か国語の資料でも数字はそろっておらず、ある学習者向けの和英辞典はアメリカのカップを「約240ml」と説明しています。こちらは栄養表示の数字です。

英語のレシピがどんなずれ方をしやすいかは、英語の日本料理レシピは何を間違えているのかにまとめています。

炊飯器の1合:180mL

炊飯器のカップが約180mLであることは、日本の読者には説明不要でしょう。アメリカで困るのは、英語のレシピや炊飯器の説明が、これも「cup」と呼ぶことです。

  • パナソニックの取扱説明書は、付属品を「計量カップ(約180mL)」とし、米の量を「1合約180mL」で示しています。
  • 三菱電機の取扱説明書は、計量カップを約180mL(米で約150g)とし、「計量カップすりきり1杯で、約1合です」と書いています。無洗米用の小さいカップ(約170mL、約147g)もついていて、重さでは普通のカップとほぼ同じ量の米が入ります。
  • アメリカの炊飯器ブランド Aroma Housewares も180mLのカップを使っています。なくした場合は、アメリカの計量カップの¾ cupで代用するよう勧めています。
合mLアメリカの計量(目安)米の重さ(目安)
1180mL¾ cup150g
2360mL1½ cups300g
3540mL2¼ cups450g
5900mL3¾ cups750g

重さは、三菱電機の「180mLで約150g」から計算しています。

問題は内釜の水位線です。線は合で刻まれているので、アメリカの計量カップで3カップ(約710mL)の米を量って「3」の線まで水を入れると、米は想定より約3分の1多く、水が足りなくなります。炊き方の全体は日本の米の炊き方で書きました。

砂糖:同じ大さじでも重さが違う

日本のレシピの「砂糖」は、ふつう上白糖です。農林水産省は、上白糖を国内でいちばん多く作られている砂糖と説明しています。アメリカで砂糖といえばグラニュー糖です。香川栄養学園の計量スプーンの重量表(同学園出版部の調理資料による)では、次のとおりです。

小さじ1大さじ1
上白糖3g9g
グラニュー糖4g12g

国立健康・栄養研究所も、国民健康・栄養調査の重量目安で同じ数字を使っています。アメリカ側では、USDA の食事調査が添加糖の小さじ1相当を4.2gとしています。つまり、同じスプーンで量るとグラニュー糖は上白糖より約3分の1重くなります。日本のレシピの「砂糖大さじ3」は約27gのつもりで書かれていますが、グラニュー糖で大さじ3なら36g近くになります。もともと甘い煮物やたれでは、この差が効いてきます。

グラムが書いてあれば量りで量り、スプーンしかなければグラニュー糖を約¾に減らしてから味をみるのが無難です。1g単位で量れて風袋引きのできるデジタルスケールがあれば、砂糖、塩、米、粉の換算はいりません。

コンロとオーブン:前提の違う台所

2口・3口のコンロと、小さなオーブン

日本の家庭の多くは、下にオーブンがついたレンジではなく、2口か3口のビルトインコンロで調理します。オーブンも、大型のビルトインではなく、オーブンレンジのような据え置き型という家庭が多くあります。

ただ、これを示す全国の統計は多くありません。内閣府の消費動向調査は、2004年に電子レンジの普及率の調査をやめています。比較的はっきりした数字は、ガス機器メーカーのノーリツが2006年に行った調査です。対象は女性373人と小規模でした。

  • 電子レンジの保有率は98.9%。
  • ガスオーブンの保有率は16.9%。オーブンを持つ人のうち約4分の3は電気オーブンでした。
  • 3口コンロが68%、2口コンロが19%。

あくまで2006年の一時点の数字で、現在の状況ではありません。ガスオーブンが少なく電気が多かったことはうかがえますが、オーブンの大きさや種類までは測っていません。

アメリカで日本のレシピを使う場合、焼き時間と温度は日本の小さなオーブンを前提にしている可能性があります。予熱をしっかりして、タイマーより焼き色や串の通り具合を目安にし、早めに様子を見るのが安全です。

魚焼きグリル

日本のレシピの「グリルで焼く」は、コンロについた魚焼きグリルのことで、屋外のグリルではありません。英語で「grill」と書くと、ここが伝わりません。このグリルは、ガス機器業界の安全基準の対象で、消し忘れたときに自動で火が消える仕組みが求められています。アメリカの台所で代わりに使うなら、オーブンのブロイラー(上火)です。網を敷いた天板に魚をのせ、熱源の近くに置き、ブロイラーは機種による差が大きいので目を離さないようにします。

安全装置と揚げ物

2008年10月から、日本では家庭用ガスコンロに二つの安全装置が法律で義務づけられています。油の温度が約300°Cになる前に火を消す調理油過熱防止装置と、火が消えたときにガスを止める立ち消え安全装置です。製品評価技術基盤機構(NITE)が2018年の資料でそう説明しています(卓上の1口コンロと業務用は対象外)。東京消防庁は、2008年以降の家庭用ガスコンロには、過熱防止、立ち消え安全、消し忘れ消火の機能をまとめた「Siセンサー」がついていると書いています。

天ぷらやから揚げのレシピは170°Cや180°Cといった油の温度を指定します。2008年以降のガスコンロを使う日本の家庭では、万一のときに自動で火が消えます。アメリカでは、コンロにどんな装置があっても、揚げ物用の温度計で油の温度を確かめるのが確実です。温度が上がりすぎていないかも見られます。

換気:日本は法律で必須、アメリカは場所による

日本

建築基準法第28条第3項は、こんろなど火を使う設備のある台所などに、政令で定める場合を除いて換気設備を求めています。技術的な基準は政令で定められ、必要な換気量は器具が使う燃料の量から計算します。札幌市の手引きでは、排気フードがあれば必要な換気量が少なくなり、より性能の高いフードならさらに少なくなる計算式になっています。東京都大田区も、台所の換気扇の大きさはガス器具の燃料消費量から決める必要があると説明しています。

法律が求めているのは「換気」で、レンジフードそのものではありません。日本の台所のうち何割にレンジフードがあるかの信頼できる統計も、見つけられませんでした。それでも、ガスこんろのある台所の換気を任意ではなく義務として扱っていることは確かです。焼き魚や強火で焼き付けるレシピでも、日本のレシピは換気扇に触れないことがあります。

アメリカ

全国一律の決まりはなく、州や市がモデルコードを採用し、修正して使います。

  • International Residential Code(IRC): この記事で確認した2006年版(ニュージャージー州の採用版)は、レンジフードを「設置する場合」の決まりです。ダクト式のフードは、逆流防止ダンパーのついた気密ダクトで屋外に排気すること、台所の排気量は間欠運転で100cfm、連続運転で25cfmとしています。排気の章には、すべての台所に排気設備を求める一般的な規定はありません。その後の版の扱いは確認できておらず、地域の決まりも異なります。
  • カリフォルニア州: 州のエネルギー基準(Title 24, Part 6)は、すべての住戸に、州の修正を加えた ASHRAE 62.2 の換気基準を満たすことを求めています。2025年基準の新築住宅向けの適合書式は、台所の局所排気(必要時運転か連続運転か)を確認し、連続運転の最小風量は台所の容積から、捕集効率の要件は住宅の広さと燃料の種類から決まります。事実上、カリフォルニア州の新築住宅には台所の排気設備が必要です。ただしこれは州の決まりで、全国のものではありません。

強火で焼き付ける、魚を焼く、揚げ物をする前には、レンジフードを回すか、フードがない、あるいは循環式なら窓を開けることになります。日本のレシピは、たぶんそれを書いていません。

あわせて読む:アメリカの店で買える日本の野菜では野菜の大きさの違いを、薄切り肉では日本の肉の切り方を取り上げています。

よくある質問

アメリカの1カップは何mLですか。 約236.6mLです。NIST は237mLに丸め、栄養表示では240mLとされます。日本の1カップ(200mL)は約0.85 cup、¾ cup + 1½ tbsp ほどです。アメリカの計量カップのmLの目盛りで200mLを量るのが簡単です。

アメリカの計量スプーンで日本のレシピを作っても大丈夫ですか。 大丈夫です。日本の大さじ15mL、小さじ5mLに対し、アメリカは約14.8mLと約4.9mLで、NIST 自身も15mLと5mLに丸めています。

アメリカで炊飯器のカップをなくしたら、何で量ればよいですか。 アメリカの計量カップの¾ cupが1合の目安で、Aroma もそう勧めています。重さなら1合あたり約150gです。水は、量った合数の線まで入れます。

アメリカの家に魚焼きグリルがないときは。 オーブンのブロイラーを使います。網を敷いた天板に魚をのせて熱源の近くに置き、目を離さず、レンジフードを回します。

この記事の調べ方

主に日本語の一次資料によっています。香川栄養学園の計量カップ・スプーンの歴史と重量表、パナソニックと三菱電機の炊飯器の取扱説明書、建築基準法と自治体の手引き、NITE と東京消防庁の安全に関する資料です。アメリカの数字は NIST、FDA、USDA、International Code Council、カリフォルニア州エネルギー委員会によりました。換算表は、挙げた資料の容量から計算しています。2006年のノーリツの調査は古く、対象も少ないため、その旨を書いています。グリルの代わりのブロイラー、大きなオーブンでの焼き加減の見方、揚げ物の温度計などは、これらの資料をもとにした一般的な目安で、当サイトで試したものではありません。

参考資料

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