日本の食材、アメリカのスーパー

アメリカのなす1本は日本のなす5本分:「玉ねぎ1個」が通じない売り場

日本のレシピは「なす2本」「玉ねぎ1個」と個数で書きますが、アメリカの野菜は大きさが違い、なすは1本で日本の約5本分です。日本の自治体とUSDAの重さを並べ、ねぎやyamの名前の混乱も確かめます。

木の台の上に、長く白い大根、太い長ねぎの束、細長い紫色のなす数本、濃い緑色のかぼちゃのくし切りが置かれている。

日本のレシピは「玉ねぎ1個」「にんじん1本」「なす2本」「大根1/3本」と書き、グラムを省くことがよくあります。日本のスーパーで「1個」がどれくらいかを、作る人が知っているからです。ところがアメリカのスーパーでは、野菜の大きさがまるで違います。アメリカの野菜1つが、レシピが想定した日本の野菜3つ分、5つ分になることもあります。

結論から言うと、個数で書かれたレシピは重さに直して、はかりで量るのがいちばん確実です。以下では、日本の自治体が示す目安の重さと、アメリカ農務省(USDA)の標準の重さを並べます。そのあとで、名前が混乱を呼ぶ野菜、つまりねぎと scallion・leek の関係や、アメリカの「yam」がさつまいもであることを見ていきます。

日本でも「中1個」は決まっていない

日本国内でも「中」は標準ではありません。3つの市が出している野菜の重さの目安やレシピは、それぞれ違う数字を挙げています。逗子市と倉敷市はどちらも「玉ねぎ中1個」と書きながら、50g違います。

  • 神奈川県逗子市の野菜のチラシは、国民健康・栄養調査をもとに、玉ねぎ中1個を約200gとしています。
  • 倉敷市保健所のレシピには「150g(玉ねぎ中1個)」とあります。
  • 名古屋市の重さの目安では、玉ねぎ小1個が120gで、倉敷市の「中」とあまり変わりません。

逗子市は、数字が何を含むかもはっきり書いています。

「※皮や種を取る前の重さです。」 — 逗子市 野菜の目安量チラシ

日本の「玉ねぎ中1個」は、おおよそ150〜200gと考えられます。これが換算の出発点です。

日本の大きさとアメリカの大きさ

アメリカの数字は、USDAの食品成分データベース FoodData Central の標準(SR Legacy)の値です。日本の数字は上の3市の資料によります。右端の比は、当サイトがこれらの数字から計算したものです。

レシピの表記日本の目安USDAの標準おおよその比
玉ねぎ1個中 約200g(逗子市)、150g(倉敷市)、小 120g(名古屋市)中 110g、大 150g、小 70g日本の中1個 ≈ アメリカの中1⅓〜1¾個(大なら1〜1⅓個)
にんじん1本大 約150g(逗子市)、中1/3本 = 50g(名古屋市)、倉敷市のレシピからは約120〜160g中 61g、大 72g日本の1本(約150g)≈ アメリカの中2½本、大2本
ねぎ1本中 約100g(逗子市、種類の指定なし)scallion 中 15g、leek(白い部分と下の葉)89gねぎ1本 ≈ scallion 中6〜7本、または leek 約1本
きゅうり1本中 約100g(逗子市)、1/2本 = 50g(名古屋市)1本 301gアメリカの1本 ≈ 日本の3本
なす1本中 約100g(逗子市)、小 70g(名古屋市)皮つき1個 548gアメリカの1個 ≈ 日本の5本
ピーマン1個大 約50g(逗子市)、小 20g(名古屋市)green bell pepper 中 119g、小 74gアメリカの中1個 ≈ 日本の2〜6個
大根1本中 約1.2kg(逗子市)、2cmの輪切り = 70g(名古屋市)USDAの標準の重さは見つからず大根1/3本 ≈ 400g
かぼちゃ1/4個 約560g(逗子市)、中1/2個 = 400g(倉敷市)比較なし分数の表記はあてにならないので量る
白菜1/4株約300g(逗子市)比較なし—

注意がひとつあります。逗子市の重さは皮や種を含みますが、USDAの1個あたりの重さが下処理前か後かは、記録から確認できませんでした。例外はなすで、USDAは皮つき548g、皮むき458gの両方を示しています。

玉ねぎとにんじんは日本のほうが大きく、きゅうり、なす、ピーマンはアメリカのほうがはるかに大きい、という逆向きの差があることもわかります。

アメリカで作るなら

  • レシピにグラムがあれば、個数は無視して量ります。 1g単位で量れて風袋引きのできるデジタルスケールが、いちばん役に立ちます。計量カップやスプーンの違いはアメリカの台所で日本のレシピを作るにまとめました。
  • 個数しかなければ、上の表で換算します。 日本の玉ねぎ1個は、アメリカの中1⅓〜1¾個、大(150g)なら1〜1⅓個です。
  • とくに気をつけたいのは細長い野菜です。 差がいちばん大きいのはなす(約5対1)、次いできゅうりとピーマン(約3対1以上)。日本のレシピの「なす2本」は約200gで、アメリカのなす1個の半分にも届きません。

ねぎと scallion、leek

ねぎの種類は日本の読者には説明不要でしょう。問題は、英語圏で何を代わりに勧めているかです。

農畜産業振興機構(ALIC)は、ねぎを白ねぎ(根深ねぎ。千住群、加賀群)と青ねぎ(葉ねぎ。九条群)に分け、白ねぎをこう説明しています。

「成長とともに土寄せを行い、日光を遮って白くした葉鞘部を主に食べます。」 — 農畜産業振興機構

ALICは、千住ねぎは鍋物や煮物など幅広く使われ、青ねぎでは九条太ねぎが主に鍋物、九条細ねぎが主に薬味だとしています。東日本は白ねぎ、西日本は青ねぎというイメージが強い一方、いまはどちらも東西を問わず食べられているとも書いています。統計ではなく印象の話なので、レシピの地域は手がかりの一つにすぎません。(地域差の例としてはすき焼き:関東の割り下と関西風も参照してください。キッコーマンが2024年に会員を対象に行った調査では、半数以上がすき焼きに長ねぎを入れると答えています。)

レシピに単に「ねぎ」とあるとき、どちらを指すかを示した資料は見つかりませんでした。鍋物でも決め手になりません。ALICによれば、白い千住ねぎも、太い青ねぎの九条太ねぎも鍋物に使われます。逗子市の「ねぎ1本 約100g」も、種類は書いていません。

英語圏の代用のすすめ

英語圏のガイドは、たいてい scallion(細い青ねぎ)か leek(西洋ねぎ、ポロねぎ)を勧めます。たとえば Just One Cookbook は、ねぎを Welsh onion(Allium fistulosum)とし、「より長く太い」と説明したうえで、代わりに「scallion、leek、にら、spring onion」を挙げています(英語の原文を訳したもの)。悪くない助言です。日本の資料から付け加えられるのは、レシピがねぎのどの部分を前提にしているか、という視点です。

必要なもの部分で選ぶなら重さの比較(USDAと逗子市)
加熱する白ねぎ(鍋物、煮物)leek の白〜淡い緑の部分、または scallion 数本の白い部分leek 1本(白い部分と下の葉)89g ≈ ねぎ1本(約100g)
薬味の青ねぎscallion の緑の部分scallion 中1本 15g

置き換えの比率を定めた日本やアメリカの公的な資料は見つからなかったので、ここでは示しません。leek も scallion もねぎとは別の植物で、重さの数字はどれだけ買えばよいかの目安にすぎません。(英語のレシピで代用や地域差がどう抜け落ちるかは、英語の日本料理レシピは何を間違えているのかで書いています。)

きゅうりとなす:アメリカでは1本が数本分

大きさの差がいちばん大きいのはなすで、きゅうりがそれに続きます。

きゅうり。 日本の目安は中1本約100g。USDAの標準のきゅうりは301gです。アメリカでよく見る English cucumber(長い品種)のUSDAの重さは見つかりませんでした。「きゅうり2本」なら、手元のきゅうりを約200g量ります。

なす。 日本のなすは中約100g、小70g。USDAの標準のなすは皮つきで548gです。アメリカで細長いなすを見つけても、そのUSDAの重さは見つかりませんでした。いずれにしても量ります。日本のなす4本は約400gです。

大根、かぼちゃ、白菜:分数で買う野菜

  • 大根。 逗子市は中1本を約1.2kgとしています。この数字なら「大根1/3本」は約400g、1/2本は約600g。名古屋市の目安では2cmの輪切りが70gです。アメリカの大根は大きさがまちまちで、1本の標準の重さもUSDAに見つからなかったので、切った分を量ります。
  • かぼちゃ。 日本の資料どうしでいちばん食い違うのがここです。逗子市は1/4個を約560g、倉敷市のレシピは中1/2個を400gとしています。「かぼちゃ1/4個」は、数百gのこともあれば500gを超えることもあります。グラムの表記を探すか、何人分かから考えます。
  • 白菜。 逗子市は1/4株を約300gとしています。

ピーマンと bell pepper

日本のピーマンは小ぶりで、逗子市の目安で大約50g、名古屋市で小20gです。USDAの green bell pepper は中119g、小でも74gあります。日本のレシピの「ピーマン3個」は約60〜150gで、アメリカの bell pepper 1個に満たないこともよくあります。green bell pepper を量って使います。

さつまいもとアメリカの「yam」

アメリカのスーパーには sweet potato と並んで「yam」が売られています。辞書どおりに訳せばヤムイモですが、実際は違います。

米国議会図書館の説明によると、わざわざ探さないかぎり、ふつうのアメリカのスーパーの「yam」はさつまいもです。加熱するとしっとりする柔らかい品種を、かたい品種と区別するために「yam」と呼ぶようになりました。本来のヤムイモは別の科の植物で、主にアフリカで栽培され、ふつうは輸入食材の店で売られています。

つまりアメリカの「yam」もさつまいもです。ただ、レシピが想定するさつまいもと同じように仕上がるかは別の問題です。日本の品種は独自の性質を目指して育種されています。たとえば農研機構は、べにはるかをこう説明しています。

「「べにはるか」は糖度が高く、しっとりなめらかな食感が特長です。」 — 農研機構 九州沖縄農業研究センター

日本の品種とアメリカの特定の品種を比べた公的な資料は見つからなかったので、どのアメリカの品種が「さつまいもの味に近い」かは書きません。言えるのは、「yam」と表示されていてもさつまいもだ、ということです。

アメリカの売り場での英語名

次の野菜は、日本の資料に1個あたりの公的な重さも、公的機関やメーカーによる代用の目安も見つかりませんでした。代用は書かず、売り場で探すときの英語名だけ挙げます。

日本語よく使われる英語名
しいたけshiitake mushrooms
えのきenoki mushrooms
しめじshimeji, beech mushrooms
しそ(大葉)shiso, perilla leaves
三つ葉mitsuba
ごぼうburdock root
れんこんlotus root

これらが個数やパックで書かれていたら、レシピにグラムの表記がないか探してください。倉敷市のレシピも、ごぼうやれんこんは個数ではなくグラムで書いています。

よくある質問

アメリカの玉ねぎは日本より大きいのですか。 USDAの標準では、むしろ小さめです。中110g、大150gで、日本の自治体の目安の中1個(約150〜200g)は、アメリカの大1〜1⅓個、中1⅓〜1¾個にあたります。大きさの差が逆向きに大きいのは、なす、きゅうり、ピーマンです。

英語圏でねぎの代わりに勧められる scallion や leek で大丈夫ですか。 目安にはなります。重さで見ると、scallion は中1本15gで、逗子市のねぎ1本約100gよりずっと小さく、leek 1本(白い部分と下の葉)89gのほうが近い数字です。加熱する料理なら leek の白い部分、薬味なら scallion の緑の部分が使いやすいでしょう。ただし、どちらもねぎとは別の植物で、公的な置き換えの比率はありません。

アメリカの「yam」はヤムイモですか。 ふつうのスーパーで売られているものは、米国議会図書館によるとさつまいもです。本来のヤムイモは別の植物です。ただ、べにはるかのような日本の品種と同じ仕上がりになるかは、比べた資料が見つかっていません。

この記事の調べ方

日本の目安の重さは、逗子市、倉敷市、名古屋市の3市が公開している野菜の重さの目安とレシピによります。数字が互いに食い違うため、どれか一つを選ばず、違いをそのまま示しました。ねぎの種類は農畜産業振興機構の2つの資料、べにはるかの説明は農研機構によります。アメリカの重さは USDA FoodData Central の SR Legacy の値、「yam」の説明は米国議会図書館によります。英語の資料からの引用は当サイトで訳し、表の比はこれらの重さから当サイトが計算しました。どの野菜についても公的な置き換えの比率は見つからなかったので、示していません。当サイトでの調理の検証はしていません。

参考資料

日本の公的な資料:

アメリカの公的な資料:

英語圏の記事の例:

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