日本のカレーはインドのカレーではない:英語のレシピが見落とすルウの中身
英語圏のレシピは日本のカレーを「カレー粉と小麦粉とバター」で再現しようとします。けれども日本のカレーはイギリス経由で来た小麦粉でとろみをつける煮込みで、家庭の味は市販のルウが決めています。箱の中身と、ルウから作る方法を確かめます。

英語のレシピには、日本のカレーを「カレー粉、小麦粉、バター」で作るものがあります。そのとおりに煮込んでも、味が薄く、角があり、どこか仕上がっていない。そう感じたなら、原因はおそらく腕ではありません。
目指す的がずれているのです。日本のカレーはインドのカレーの一種と受け取られることがありますが、作り方の系譜はむしろ西洋の煮込みに近く、家庭の味を決めているのは市販のルウです。
要点
日本のカレーはインドから直接ではなく、イギリスを経由して伝わりました。作り方は、多くのインドのカレーより西洋のブラウンルウの煮込みに近いものです。分かれ目は小麦粉です。日本で最も古いカレーのレシピはすでに小麦粉でとろみをつけています。インドのカレーは一般に、玉ねぎ、トマト、ヨーグルト、ナッツのペーストでとろみをつけ、小麦粉はまれです。
そして日本の家庭の標準は市販の固形ルウです。原材料が30以上並ぶ工業製品で、カレー粉は6番目にすぎません。「カレー粉+小麦粉+バター」で再現できるのは、上位6つのうちせいぜい3つです。
ルウから手作りできないわけではありません。ただ、何を組み立て直しているのかを知っておく必要があります。
小麦粉は最初から入っていた
英語圏の記事では、日本のカレーのとろみは日本人があとから小麦粉を足して生まれた、と書かれることがあります。
そうではありません。とろみは最初からありました。
日本で知られる最も古いカレーのレシピは、1872年に出た西洋料理の本2冊にあります。『西洋料理指南』の材料は、ねぎ、しょうが、にんにく、バター、えび、鯛、かき、鶏、赤蛙、小麦粉、カレー粉。食文化史家の小菅桂子さんは、蛙にフランスの影響がうかがえると指摘しています。仮名垣魯文の『西洋料理通』は、牛肉、鶏肉、ねぎ、りんご、小麦粉、柚子、カレー粉です。
どちらにも小麦粉があります。そもそもこれは西洋料理の本で、カレーは西洋料理として載っています。
1908年には、舞鶴海兵団がまとめた『海軍割烹術参考書』が、牛脂を溶かして小麦粉を入れ「狐色」になるまで炒り、カレー粉を加えて「スープ」ニテ薄トロノ如ク溶シ、と書いています。
油脂と小麦粉を水分より先に炒め合わせる、ブラウンルウです。フランスやイギリスのブラウンソースや煮込みと同じ土台に、カレー粉を加えたものです。ハウス食品も、ルウという言葉の由来を次のように説明しています。
もともと「ルー(ルウ)」の語源はフランス語の「roux」で、「赤褐色の、赤茶色の」という意味です。
系統図で見れば、日本のカレーはインドのカレーよりビーフシチューにずっと近い場所にいます。
ついでに:英語圏で広まる「金曜カレー」の話
英語の記事には、海軍が金曜日にカレーを出したのは、海の上で曜日の感覚を保つためだった、という話がよく出てきます。
海上自衛隊の説明は違います。同隊のサイトによると、カレーは週休2日制の導入に合わせて土曜から金曜に移りました。海軍料理の研究家、高森直史さんは、金曜の習慣を1980年代後半ごろからとしています。海上自衛隊は「曜日の感覚」という説明を、週末のカレーが定着したあとに生まれたものとしていて、理由としては扱っていません。
日本のカレーは海軍から始まった、という広い主張も根拠が弱いものです。高森さんは、海軍が日本式カレーのルーツだという証拠は見つかっていないと述べています。そもそも1872年のレシピは、1908年の海軍の本より36年早いのです。
家庭のカレーは箱のルウ
日本の読者には当たり前ですが、英語のレシピの前提をいちばん大きく変える事実です。日本の家庭のカレーは、箱のルウで作る料理です。 手抜きでも、手作りの伝統が衰えた結果でもありません。固形ルウは1950年代から売られており、約70年にわたって箱のルウそのものが伝統です。
数字で見ると、次のとおりです。
- 購入量。 家計調査(2022年)をもとにした民間の分析は、1人あたり年に約1.88箱(12皿分)のカレールウを買っていると推計しています。最多は長野の2.44、最少は埼玉の1.32です(県庁所在市の数値)。
- どこで食べるか。 2018年のマイボイスコムの調査(回答10,516人)では、カレーを食べる人の80.7%が家で作ったカレーと答え、レトルトは49.8%、外食は26.8%でした(複数回答)。
- 市場規模。 2024年度(2024年4月〜2025年3月、インテージSRI+)のカレールウの小売販売額は454億円、ハヤシやカレーうどんの素などを含むカレー関連市場は1,265億円です。
- 集中度。 神戸大学のビジネスケースは、カレールウ市場でのハウス食品のシェアを約60%としています。
- 頻度。 エスビー食品は業界の生産量から、日本人はカレーを年に約79回、何らかの形で週1回以上食べていると推計しています。
ルウはどの地域でも買われ、カレーを食べる人の5人に4人は家で作り、ハウス食品を筆頭とする数社が市場を占めています。ルウを使わずスパイスから作る家庭が大きな層をなしていることは、市場データからは見えません。
ここから、少し居心地の悪い、けれど役に立つ結論が出ます。英語圏の人が「日本のカレー」と言って追いかけている味は、大部分が数社の食品メーカーが設計した味です。 手作りで近づくなら、その中身を知る必要があります。
箱の中身
**ハウス バーモントカレー〈中辛〉**の原材料名を、ハウス食品の商品カタログから引きます。日本の表示では、原材料は重量の多い順で、スラッシュのあとの添加物は別に順位がつきます。
食用油脂(牛脂豚脂混合油(国内製造)、パーム油)、小麦粉、砂糖、食塩、でんぷん、カレーパウダー、全粉乳、脱脂大豆、クリーミングパウダー、はちみつ、酵母エキス、玉ねぎエキス、ローストオニオンパウダー、トマトパウダー、オニオンパウダー、バナナペースト、ポークエキス、粉乳小麦粉ルウ、脱脂粉乳、りんごペースト、香辛料、ガーリックパウダー、しょう油加工品、トマトエキス、チーズパウダー、ローストガーリックパウダー、ホエイパウダー、粉末油脂/着色料(カラメル、パプリカ色素)、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、香料、酸味料、香辛料抽出物、(一部に乳成分・小麦・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・りんごを含む) — ハウス食品 商品カタログ(2026年10月確認)
英語のレシピと比べると、8つの点が目につきます。
- 最初は油脂で、バターではない。 牛脂と豚脂の混合油に、パーム油。動物性と植物性を合わせ、常温での固まり方と溶け方で選ばれています。
- カレーパウダーは6番目。 油脂、小麦粉、砂糖、食塩、でんぷんのあとです。主役はスパイスではありません。
- 砂糖が3番目。 さらにはちみつ、りんごペースト、バナナペースト、トマト。甘さは飾りではなく骨格です。
- うま味が重なっている。 酵母エキス、玉ねぎエキス、ポークエキス、トマトエキス、しょう油加工品、さらにアミノ酸等の調味料。
- 乳製品が少なくとも4回出てくる。 全粉乳、脱脂粉乳、チーズパウダー、ホエイパウダー。加えてクリーミングパウダーと粉乳小麦粉ルウ。
- 玉ねぎは3種、にんにくは2種。 それぞれローストしたものと、そうでない粉末やエキスがあり、軽い香りと焼いた香りの両方を持たせています。
- でんぷんが小麦粉とは別にある。 とろみをルウとは別に調整しています。
- 乳化剤がある。 油と水を混ざった状態に保つ働きです。手作りのルウは乳化剤がないぶん分離しやすく、油脂が多いときや強く煮立てたときは特にそうです。
しかも小麦粉は油脂と混ぜただけではなく、焙煎されています。ハウス食品の工場紹介は、小麦粉を食用油脂でじっくり焙煎して、小麦粉の「うまみや香ばしさ」を引き出すと書き、エスビー食品は小麦粉と油を100℃以上で加熱して水分を飛ばし、香りを出すと説明しています。
つまり箱のルウはスパイスの調合ではありません。焙煎したルウに、重ねたうま味、砂糖と塩、乳製品、果物、乳化剤を合わせたものです。カレー粉と小麦粉とバターでは、上位6つのうちせいぜい3つ、それも油脂はおおまかにしか再現できず、それを支える組み立てはほぼ何もありません。
なぜ甘いのか、誰が決めたのか
英語圏では日本のカレーの甘さに驚く人が多く、メーカーが子ども向けに甘くした、と説明されがちです。それ自体は間違いではありませんが、発想は家庭の台所が先でした。
ハウス食品がバーモントカレーの開発を始めたのは1962年です。同社によると、当時のカレーは辛い「大人の食べもの」でした。同社は対象を子どもと若い女性に絞りました。発想の出どころは、こう書かれています。
子どもにカレーを食べさせる時、辛さを抑えるために、バナナやみかんなど、様々な果物を加えていた家庭が多くありました。
家庭がすでにしていたことを、メーカーが商品にしたのです。 開発中の名前は「フルーツカレー」で、最終的な名前は、当時日本ではやっていた、りんご酢とはちみつの「バーモント健康法」から取られました。
小売店の反応は厳しく、同社の記録には、りんごとはちみつの入った甘いカレーなど「売れるはずはない」と言われたとあります。それが数か月で大ヒットになり、生産が追いつかず品切れが続きました。
鍋に何かを足す習慣はいまも続いています。2022年のねとらぼの「カレーの隠し味」人気投票では、チョコレート(20.1%)とコーヒー(15.1%)が1位と2位でした。
甘さのもう一つの源は玉ねぎで、これは化学で説明できます。ハウス食品によると、加熱で辛みや苦みの成分が揮発・分解し、相対的に甘みを強く感じるようになります。さらに色づく過程でアミノ酸と糖が反応するメイラード反応が起き、香りが生まれます。エスビー食品の研究開発部門は、みじん切りの玉ねぎを弱火で0分、15分、30分、40分炒めて比べ、炒める時間が長いほど甘み、うま味、焙煎感が強まり、辛さの感じ方は弱まることを確かめています。40分で玉ねぎは「きつね色」になりました。
ただし、ハウス食品の基本のレシピでは、玉ねぎはしんなりするまで炒めるだけです。長く炒めるのはひと手間を加えた方法で、日本の日常の作り方ではありません。
英語圏の記事が誤解するもう一つの点:辛さの表示
甘口・中辛・辛口に業界共通の基準はありません。英語圏では、辛さの段階が共通の尺度であるかのように紹介されることがありますが、エスビー食品は各社が独自に基準を決めていると明言しています。同社の方法は、カプサイシン(唐辛子)とピペリン(こしょう)の含有量の測定に、具材、粘度、調味を考えた官能評価を組み合わせるものです。江崎グリコも、辛さはカプサイシンとピペリンで決まり、甘口・中辛・辛口の度合いはメーカーごとに違うとしています。エスビー食品は、自社の「中辛」どうしでも辛さの感じ方が違うことがあるとまで書いています。
辛さの段階の本当の役割は家族の食卓です。一つの鍋、一つの銘柄で、全員が食べられる辛さを選ぶ。バーモントカレーの考え方が仕組みになったものです。2022年の主に学生1,000人へのネット調査では、好きな辛さは中辛が59.9%で1位でした。
ルウから作る
箱を使わずに作るなら、箱の中身を目標にします。焙煎したルウ、重ねたうま味、果物の甘さ、乳製品、そして十分な塩です。家庭で再現しにくいのは、別に加えたでんぷんと乳化剤です。
以下はハウス食品とエスビー食品が公開している説明と、1908年の海軍の作り方をもとに当サイトがまとめたもので、当サイトの台所で試作したものではありません。
ルウ
- 油脂 60g:たとえば食塩不使用バター30g+ラードまたは牛脂30g(箱のルウは牛脂豚脂混合油とパーム油。バターだけでもよく作られます)
- 小麦粉 60g
- カレー粉 大さじ2
- ガラムマサラ 小さじ1(好みで)
油脂を中弱火で溶かし、小麦粉を加えて絶えず混ぜながら10〜15分炒めます。1908年の本にある「狐色」、薄い〜中くらいのきつね色になり、香ばしくなったら火から下ろします。色を濃くしすぎると、とろみの力ははっきり落ちます。カレー粉とガラムマサラを混ぜ、焦がさないよう余熱で約30秒、香りを立たせます。
取り置いておきます。冷めると固まりますが、それで問題ありません。
煮込み
- 玉ねぎ 中2個(約400g)、薄切り
- サラダ油 大さじ2(2回に分けて使う)
- 牛肩肉または豚肩肉 500g、2〜3cm角
- 水または薄めのスープ 900mL
- 醤油 大さじ1+ウスターソース 小さじ1:うま味
- トマトペースト 大さじ1:うま味と酸味
- りんご 1/2個(すりおろし)+はちみつ 小さじ1:果物の甘さ
- 顆粒だし 小さじ1、または昆布1切れ(好みで。グルタミン酸を足します)
- にんじん 2本、乱切り
- じゃがいも 中2個、大きめに切る
- 玉ねぎ。 サラダ油大さじ1で、中弱火でよく混ぜながら30〜40分、きつね色になるまで炒めます。エスビー食品の官能試験では、炒める時間とともに甘みとうま味が増しました。時間がなければ、ハウス食品の基本のレシピのようにしんなりするまででもかまいません。
- 肉。 別のフライパンで残りのサラダ油大さじ1を使って焼き色をつけ、玉ねぎの鍋に移します。
- 水分と調味料。 水またはスープと、醤油、ウスターソース、トマトペースト、すりおろしたりんご、はちみつ、だしまたは昆布を加えます。煮立てて、あくを取ります。はちみつはあとからではなく、ここで水と一緒に入れます(理由は後述)。
- 煮込み。 ふたを少しずらして弱火で、肉がほぼやわらかくなるまで煮ます。牛肩肉で60〜90分が目安です。水位が最初よりかなり下がったら水を足し、昆布を取り出します。
- 野菜。 にんじんとじゃがいもを加え、やわらかくなるまでさらに15〜20分煮ます。
ルウを溶かす
火を止めて、煮立ちが完全におさまるまで待ちます。
ハウス食品によると、強く煮立った鍋にルウを入れると、ルウの小麦粉が膜をつくって溶けにくくなります。火を止めると鍋は約90℃まで下がるとしています。エスビー食品はさらに具体的で、小麦のでんぷんは60℃で糊化が始まり、80〜85℃で完全に糊化するため、沸騰した液にルウを落とすと表面だけが固まってダマになると説明し、先に80℃未満まで冷ますよう勧めています。
熱い煮汁を少しルウに加えてなめらかに溶き、鍋に戻して混ぜます。再び弱火にかけ、混ぜながら約10分、とろみがつくまで煮ます。
仕上げに:
- 牛乳 大さじ2、または生クリーム 大さじ1:コクのため。(ソースをまとめているのは主にでんぷんの糊で、乳製品ではありません。)
- 塩で味を調える。 まず小さじ1(約6g)から。市販のルウでは食塩は4番目に多い原材料で、このレシピには醤油とだし以外にほとんど塩がありません。
- 砂糖 小さじ1〜2(好みで)。箱のルウの甘さに近づけたいときに。
とろみを知らないうちに壊す2つのこと
味見のスプーンを鍋に戻さない。 ハウス食品がはっきり書いています。唾液には、とろみのもとのでんぷんを分解する酵素アミラーゼが含まれます。味見は別のスプーンで。
はちみつ(とみそ)は、最後ではなく早めに。 どちらにもアミラーゼが含まれます。ハウス食品は、はちみつは水と一緒に入れ、ルウを入れる前に20分以上煮立てて酵素を働かなくさせるよう勧め、隠し味のみそ、みりん、醤油も同じだとしています。仕上がって冷めかけた鍋に混ぜると、とろみがゆるむことがあります。
一晩おくこと
エスビー食品は、一晩おいたカレーがおいしい理由を、具材、スパイス、調味料の味と香りがなじむこと、肉のアミノ酸や核酸、野菜の糖がソースに溶け出してコクとうま味が深まること、温め直すとじゃがいもが崩れてソースに溶け、スパイスの香り、辛さ、塩気がまろやかになることで説明しています。
すばやく冷まして2時間以内に冷蔵し、温め直すときは湯気が立つまで加熱します。
日本のカレーとインドのカレー
| 日本のカレー | インドのカレー | |
|---|---|---|
| 系譜 | イギリス経由で伝来。日本最古のレシピは1872年 | 土着、地域ごと |
| とろみのもと | 小麦でんぷんの糊化(ルウ) | 玉ねぎ、トマト、ヨーグルト、ナッツのペーストなどの固形分 |
| 油脂 | 箱のルウは牛脂・豚脂・パーム油、またはバター | 地域による(ギー、マスタードオイル、ココナッツオイルなど) |
| スパイス | 調合済みのカレー粉をルウに加える | 個別に煎ってひき、調理の途中で重ねる |
| 甘さ | 意図的で骨格の一部(果物、はちみつ、砂糖) | ふつうは主眼ではない |
| 濃度 | 濃く、ご飯にからみ、冷めると固まる | さらさらの汁から汁気のないものまで |
| いちばん近い親戚 | ビーフシチュー | — |
よくある質問
海外では日本のカレーはどう見られていますか。 英語圏では、インドのカレーの日本版や甘いカレーとして紹介されることがあり、カレー粉と小麦粉とバターで再現しようとするレシピもあります。実際には、インドに根を持ちながら、イギリスを経由して小麦粉でとろみをつける煮込みとして伝わった料理で、家庭の味は市販のルウが決めています。
金曜カレーは曜日を忘れないためだったのですか。 海上自衛隊の説明では違います。週休2日制の導入でカレーが土曜から金曜に移り、「曜日の感覚」という説明は、その習慣が定着したあとに生まれたものとされています。
甘口・中辛・辛口に共通の基準はありますか。 ありません。各メーカーが独自に決めていて、エスビー食品はカプサイシンとピペリンの測定と官能評価を組み合わせています。比べるなら同じ銘柄の中で比べるのが確実です。
手作りのルウでとろみがつかないのはなぜですか。 ハウス食品が挙げる原因は、でんぷんを糊化させるだけの加熱が続いていないこと(60〜65℃以上をしばらく保つ必要があります)、強く煮立った鍋にルウを入れてダマになること、水分が多すぎること、そしてアミラーゼです。アミラーゼは鍋に戻した味見のスプーンや、液と一緒に煮立てずにあとから加えたはちみつやみそから入ります。分離しやすいのは、市販のルウにある乳化剤がないためで、油脂を小麦粉とつり合う量にし、ルウを入れたあと強く煮立てないことが助けになります。
この記事の調べ方
数字と歴史の記述は、下に挙げた日本語の資料と公的な資料、主にメーカー自身の発表、海上自衛隊、公表された調査や市場データによっています。調査と市場の数字は、推計や特定の対象に限るものがあるため、年と前提を添えています。日本語資料からの引用は原文のまま、短くとどめています。ルウから作るレシピは、ハウス食品とエスビー食品の公開情報と1908年の海軍の作り方をもとにまとめたもので、当サイトでは試作していません。
参考資料
日本語の一次資料:
- ハウス食品 — カレーの日本史 明治 明治のカレーのレシピ
- ハウス食品 — バーモントカレー誕生秘話 甘いカレーの発想と発売当時の反応
- ハウス食品 — バーモントカレー〈中辛〉商品カタログ(原材料名) 原材料の一覧
- ハウス食品 — Q. ルウ(ROUX)とは何ですか ルウという言葉の由来
- ハウス食品 — Q. なぜいったん火を止めてからルウを入れるのですか 火を止める理由
- ハウス食品 — カレーにとろみがつかない時の対処法 とろみがつかない原因とアミラーゼ
- ハウス食品 — あめ色玉ねぎがカレーをおいしくする理由 玉ねぎの甘さの仕組み
- ハウス食品 — 基本のカレーの作り方 基本のレシピ
- ハウス食品 — バーモントカレー工場 原料・焙煎 小麦粉の焙煎
- S&Bカレー.com — カレーの日本史 カレーの伝来
- S&Bカレー.com — なぜ一度火を止めてからルウを入れるの? でんぷんの糊化温度
- S&Bカレー.com — 一晩おいたカレーがおいしいのはなぜ? 一晩おく効果
- S&Bカレー.com — 日本人は年間どれくらいカレーを食べる? 年間の喫食回数
- エスビー食品 研究開発 — 具材とカレーライスの味な関係(2) 玉ねぎ 玉ねぎの炒め時間の官能試験
- エスビー食品 — 甘口・中辛・辛口の基準は? 辛さの基準
- 江崎グリコ — カレーの辛さの度合いはどうなっているのですか? 辛さの基準
- 海上自衛隊 — 艦めし豆知識(金曜カレー) 金曜カレーの由来
- カレーライス — Wikipedia(日本語版) 『西洋料理指南』『西洋料理通』『海軍割烹術参考書』の記述
- 海軍割烹術参考書 — Wikipedia(日本語版) 1908年の海軍の本
- メシ通 — 「日本式カレーは海軍から始まった」説は本当か? 高森直史さんの見解
データ:
- region-case.com — カレールーの消費量 都道府県ランキング(令和4年、家計調査ベースの推計) 都道府県別の購入量
- マイボイスコム — カレーに関するアンケート調査(2018年、n=10,516) どこでカレーを食べるか
- インテージ SRI+ — カレー市場 2024年度(業界紙報道) 市場規模
- ITmedia — 好きな辛さ1位は中辛(2022年、n=1,000) 好きな辛さの調査
- ねとらぼ調査隊 — 「カレーの隠し味」人気ランキング(2022年) 隠し味の人気投票
- 長内厚(神戸大学経済経営研究所)— ビジネスケース:ハウス食品 カレールウ製品の開発(PDF) ハウス食品のシェア
この記事は、シリーズ英語の日本料理レシピは何を間違えているのかの一本です。あわせて照り焼きは「ソース」ではない、「みりんの代わりに米酢」は誤りもどうぞ。


